「Web集客を強化したい」と思っても、何から手をつければいいか分からない。SEO、広告、SNS、コンテンツ……施策の選択肢が多すぎて、結局どれも中途半端になってしまう。
そういったご相談を、支援先から毎月のように受けます。
原因のほとんどは「施策の前に設計図がない」ことです。大工が設計図なしに家を建てないように、Web集客も全体像を設計してから施策に入る必要があります。
この記事では、当社がクライアント支援で実際に使っている「4層構造モデル」と、外注・内製を問わず使えるフェーズ別の優先順位の考え方を公開します。
Web集客に「設計図」が必要な理由
施策から入ると失敗する、と言われてもピンとこないかもしれません。ただ、次の3つのパターンに当てはまる企業のほぼすべてが、設計図なしで動き出しています。
パターン1:施策が多すぎて効果測定ができない
SEO・リスティング・SNS広告・Instagram運用を同時並行で始めてしまい、どれが効いているか分からない状態。予算を削る判断ができず、ジリ貧になっていく。
パターン2:施策が多い割に入り口が一点に集中している
Google広告だけで集客しているため、入札単価の上昇に耐えられない。SEOへの移行を検討するが、成果が出るまで半年以上かかると言われて躊躇する。
パターン3:認知はあるが問い合わせに転換しない
SNSのフォロワーは増えているが、問い合わせにつながらない。Webサイトへの流入はあるがCVRが低い。原因の特定ができずに施策だけ追加してしまう。
いずれも「どのチャネルで誰を集め、何に誘導し、どう転換するか」という全体の流れが設計されていないことが根本原因です。
設計図を持つことで、①施策の優先順位が決まる、②施策間の連携が生まれる、③KPIの設定根拠が明確になる、という3つのメリットが生まれます。
炭田一樹「施策選びに迷っている」という相談の大半は、実は施策の問題ではなく戦略の問題です。どのチャネルが最適かは、ターゲット・フェーズ・予算の3つが揃って初めて判断できます。その3つを整理するために設計図が必要です。
当社が使う「4層構造モデル」
Web集客を設計するとき、当社は以下の4つの層で構造化しています。
第1層:集客(流入設計)
どのチャネルを使って見込み客をWebサイトに呼び込むかの設計です。主なチャネルは以下の3系統です。
- 検索流入:SEO(オーガニック)/ リスティング広告(有料)
- ソーシャル流入:Instagram・X・YouTube・TikTok等のSNS
- 紹介流入:外部メディア掲載・他サイトからのリンク・口コミサイト
設計時の判断基準は「今すぐ客」か「そのうち客」かです。今すぐ客(顕在層)には検索広告が即効性があります。そのうち客(潜在層)にはSEOやSNSで長期的に接点を作ります。
第2層:受け皿(ランディング設計)
集客した流入を「誰に、何を、どう伝えるか」を設計するフェーズです。
ランディングページ(LP)、サービスページ、ブログ記事、事例ページなどがここに入ります。流入元(チャネル)と受け皿(コンテンツ)がミスマッチだと、どれだけ広告費をかけてもCVRは上がりません。
第3層:転換(CV設計)
問い合わせ・資料請求・来店予約など、目的のアクションへ誘導する設計です。
CVボタンの設置位置、フォームの入力項目数、「無料相談」か「資料請求」かのCV種別、サンクスページ後のフォロー導線など、細部の設計がCVRを大きく左右します。
当社ではCV設計のチェックリストとして「10項目のEFO(Entry Form Optimization)確認表」を使っています。これだけで平均15〜30%のCVR改善が見込めます。
第4層:活性化(LTV設計)
集客・転換した顧客を継続顧客・紹介顧客に育てる設計です。
初回問い合わせ後のメールフォロー、既存客向けのコンテンツ提供、紹介インセンティブの設計などが含まれます。B2Bサービスであれば、CRMとの連携もここに入ります。
多くの企業が第1〜2層に集中しすぎて、第4層が手付かずです。既存顧客からの紹介は最も低コストで高CVRな集客チャネルですが、設計していない企業がほとんどです。





この4層の中で最初に手をつけるべきは「第3層:CV設計」です。流入を増やす前にCVRを高めることが鉄則です。バケツの穴を塞がずに水を注いでも意味がない、という話と同じです。CV設計が固まってから広告やSEOの予算を投じる順序が、費用対効果を最大化します。
フェーズ別の優先順位の決め方
設計図を作っても、全部を同時に動かすことはできません。リソースは有限なので、フェーズを分けて優先順位を決める必要があります。
Phase 0(準備期:〜1ヶ月目)
目的は「現状の数値把握」と「目標設定」です。
- Google Analytics 4・Google Search Console の設定確認
- 現在のCV数・CVR・主要流入チャネルの計測
- 競合3社のWeb集客状況のリサーチ
- 月次目標KPIの設定(問い合わせ数・CVR・セッション数)
この段階で何も計測できていない状態なら、まずGA4の設定と目標設定(コンバージョン設定)を行います。計測できないものは改善できません。
Phase 1(基盤構築期:2〜3ヶ月目)
目的は「CVRの改善」と「コンテンツ基盤の整備」です。
- Webサイトのコンバージョン導線の見直し(EFO・CTAボタン改善)
- サービスページ・事例ページの内容充実
- 問い合わせ後のサンクスページ最適化
- ブログの月2〜4本ペースでのコンテンツ制作開始
施策よりも先にサイト側の受け皿を整えることが優先です。
Phase 2(チャネル拡張期:4〜6ヶ月目)
基盤が整ったら、流入チャネルを設計します。
- 検索ニーズの高いキーワードへのSEO本格着手
- リスティング広告の試験運用(月3〜10万円で検証)
- SNSチャネルの選定と運用開始
チャネルは「今すぐ客比率」と「予算」で決めます。即時性が必要なら広告、中長期投資ができるならSEOです。
Phase 3(最適化期:7ヶ月目〜)
数値が出てきたら、PDCAサイクルに入ります。
- 月次でチャネル別CVR・獲得コストを計測
- 効果の低い施策の停止・予算の集中
- コンテンツの更新・リライト
- 第4層(LTV設計)への着手
このフェーズで初めて、施策ごとのROIを比較して予算配分を最適化できます。



Phase 1をスキップしてPhase 2(広告・SEO)に入る企業が非常に多いです。ただ、受け皿が整っていない状態で流入を増やしても、問い合わせには転換しません。1ヶ月でもPhase 1に集中する価値があります。
外注するなら「卒業設計付き」が条件
Web集客の設計・実行を外注する場合、依頼先の選び方が重要です。
当社がよく見る失敗パターンは「外注依存で内製化できない状態が続く」ケースです。毎月固定費がかかり続ける一方で、社内にノウハウが蓄積されない。解約しようにも、担当者がいないから解約できない。
これを避けるために、当社では最初の提案段階から「卒業設計」を組み込んでいます。
卒業設計の3要素
- 移管ロードマップ:外注業務を段階的に社内移管するための月次計画
- マニュアル化:実施している施策のSOP(標準作業手順書)を随時作成・共有
- 担当者育成:クライアント側の担当者がツール操作・分析・判断を自走できる状態を目指す
「支援歴8年・平均支援期間1年以上・月次継続率90%以上」という数字は、支援が長く続くことを示していますが、これは依存関係を作っているからではありません。内製化しながら次のフェーズへの支援に移行しているためです。
外注先を選ぶ際は「何を・いつまでに・どのレベルで内製化できるか」を最初の打ち合わせで確認することをおすすめします。これを明示できない外注先は、長期依存になるリスクがあります。



「外注か内製か」の二択で悩む必要はありません。フェーズ別に外注×内製の比率を変えていくのが現実解です。Phase 1〜2は外注中心で設計と基盤を整え、Phase 3以降で内製化比率を高めていく。卒業設計を最初から組み込んでいる支援先かどうかが、外注先選びの最重要チェックポイントです。
今日から始める最初の3ヶ月アクション
設計図の話だけでは動けないので、明日からできる具体的なアクションをまとめます。
1ヶ月目:計測と現状把握
- Google Analytics 4 のコンバージョン設定(問い合わせ完了ページをゴールに設定)
- Google Search Console の設置と月次クリック数・表示回数の確認
- 過去3ヶ月の問い合わせ数・CVRの計算
- 競合3社のWebサイトのSEOキーワード調査(Ahrefs無料版またはラッコキーワード)
- 自社の主要KW上位3つの検索順位確認
2ヶ月目:CVR改善
- Webサイトのファーストビューに問い合わせCTAがあるか確認
- 問い合わせフォームの入力項目を5項目以内に削減
- スマートフォン表示でのCVボタン押しやすさ確認
- 事例ページの追加・充実(最低3社分)
- サービスページに「よくある質問」セクション追加
3ヶ月目:流入設計
- 月間検索数100〜1,000のロングテールキーワードを10本選定
- ブログ記事の執筆開始(月2〜4本ペース)
- リスティング広告のスモールテスト(月3〜5万円・30日)
- SNSチャネル1本の選定と投稿頻度の設定
- 月次レポートのフォーマット作成と計測開始
このチェックリストをすべて完了した状態が「設計図の基盤が整った状態」です。ここから先は、数値を見ながら施策を絞り込んでいく段階に入ります。



3ヶ月でこのリストを完遂できなくても問題ありません。重要なのは「計測できている状態」に最短で持っていくことです。計測環境がないまま施策を増やすのが最もリスクが高い。まずGA4のコンバージョン設定だけでも今日中に終わらせてください。
まとめ:設計図なき施策は投資ではなくコスト
Web集客で成果が出ない企業の共通点は、「設計図なしに施策を積み上げている」ことです。どれだけ良い施策でも、全体設計がなければ投資ではなくコストになります。
当社の4層構造モデルをまとめると:
- 第1層(集客):どのチャネルで誰を呼ぶか
- 第2層(受け皿):何を見せてどう理解してもらうか
- 第3層(転換):どのアクションに誘導するか
- 第4層(活性化):転換後にどう関係を深めるか
この4層を順番に設計してから、施策に入る。これが「マーケティングの設計事務所」として当社が一貫して守っているプロセスです。
「設計図を引いてから施策に入りたいが、社内にリソースがない」という方は、無料相談からご利用ください。現状のWeb集客の課題と優先施策を、1回の相談で整理します。



