
フリーランスとして活動する上で、「経費」の知識は手取り収入を最大化するための最も重要な武器です。
しかし、「どこまで経費にできるの?」「この支出はOK?」と判断に迷う場面は少なくありません。
この記事では、多くのフリーランスが抱える経費の疑問を解決するため、国税庁の最新情報に基づき、以下の点を徹底的に解説します。
- 経費にできるもの・できないものの明確な判断基準
- デザイナーやエンジニアなど業種別の経費具体例
- 家事按分の具体的な計算シミュレーション
- 年収別のリアルな節税効果
- 最新のインボイス制度・電子帳簿保存法への対応
この記事を読めば、もう経費で迷いません。正しい知識を身につけ、賢く節税し、フリーランスとしての事業をさらに成長させましょう。
【ご注意ください】
この記事は、2025年9月時点の国税庁の情報を基に、フリーランスの経費に関する一般的な情報を提供するものです。個別の税務相談や判断を保証するものではありません。最終的な判断や申告については、必ず所轄の税務署または税理士にご相談ください。
Contents
フリーランスが知っておくべき経費の基本知識
まずは、経費を扱う上での基本的な考え方と、2025年現在で対応が必須となる法律のポイントを確認します。
フリーランスの「経費」とは?なぜ節税に繋がるのか
フリーランスにおける経費とは、「事業の売上を得るために直接必要だった支出」のことです。
なぜ経費を正しく計上すると節税になるのか、その仕組みはシンプルです。所得税は、売上そのものではなく、売上から経費を差し引いた「所得」に対して課税されます。
[所得税額] = [所得] × [税率] - [控除額]
つまり、経費を漏れなく計上すれば、課税対象となる所得が減り、結果的に支払う税金(所得税・住民税)が少なくなるのです。これは、フリーランスが手元に残るお金を最大化するための、最も基本的で効果的な戦略と言えます。
「事業関連性」が最重要!経費として認められる判断基準
ある支出が経費として認められるかどうかの唯一絶対の基準は、「事業との関連性を客観的に説明できるか」という点です。
以下の3つのポイントでセルフチェックしてみましょう。
- 誰のために支払ったか? → 顧客や取引先など、事業関係者か
- 何のために支払ったか? → 売上向上や事業拡大など、明確な目的があるか
- どのように役立ったか? → 新規案件の獲得、スキルアップなど、事業への貢献を説明できるか
この基準を満たしていれば、幅広い支出を経費として計上できます。逆に、個人的な趣味や生計のための支出は、たとえ高額であっても経費にはなりません。
【重要】2025年の制度変更点!インボイス・電子帳簿保存法への対応は必須
2025年現在、フリーランスが必ず対応すべき2つの重要な制度があります。
- インボイス制度(適格請求書等保存方式)
- 概要: 消費税の仕入税額控除を受けるための新しい請求書のルールです。
- 対応: 課税事業者(売上1,000万円超)はインボイス発行が必須。免税事業者も、取引先から発行を求められるケースが増えています。インボイスを発行するには「適格請求書発行事業者」としての登録が必要です。
- 注意点: 2029年9月までは、免税事業者からの仕入れでも一定割合を控除できる経過措置が設けられています。
- 電子帳簿保存法
- 概要: 税金に関する帳簿や書類を電子データで保存する際のルールを定めた法律です。
- 対応: 特に重要なのが「電子取引データ保存」の義務化です。メールで受け取った請求書PDFや、Webサイトからダウンロードした領収書などは、紙に印刷して保存するのではなく、必ず電子データのまま、特定の要件を満たして保存しなければなりません。
- 注意点: 2023年末で宥恕(ゆうじょ)措置は終了しており、現在は完全義務化されています。
これらの制度に対応しない場合、税務上の不利益を被る可能性があるため、必ず最新のルールを理解しておきましょう。
【勘定科目別】フリーランスが経費にできるもの完全一覧
ここでは、フリーランスが経費として計上できる主な項目を、勘定科目別に一覧で解説します。
| 勘定科目 | 内容 | 具体例 | 判断ポイント・注意点 |
|---|---|---|---|
| 地代家賃 | 事業で使う事務所や店舗の家賃 | ・事務所の賃料 ・レンタルオフィスの利用料 ・自宅兼事務所の家賃(家事按分) | 自宅兼事務所の場合は、事業で使っている面積や時間に応じた家事按分が必要です。 |
| 水道光熱費 | 事業で使う電気、ガス、水道代 | ・事務所の電気代 ・サーバーを稼働させるための電気代 ・自宅兼事務所の光熱費(家事按分) | こちらも家事按分の対象です。事業内容に応じて、使用時間などを基準に合理的な割合を計算します。 |
| 通信費 | 電話、インターネット、郵便など | ・仕事用の携帯電話料金 ・インターネットプロバイダ料金 ・サーバーレンタル代、ドメイン代 ・切手代、書類送料 | プライベートと兼用の場合は家事按分が必要です。仕事専用の回線や端末があれば全額経費にできます。 |
| 旅費交通費 | 取材や打ち合わせのための移動費用 | ・電車、バス、タクシー代 ・飛行機、新幹線代 ・出張先のホテル宿泊費 ・ガソリン代、高速道路料金 | Suicaなどの交通系ICカードの利用履歴も証拠になります。領収書が出ない場合は出金伝票を作成しましょう。 |
| 接待交際費 | 取引先との関係構築のための費用 | ・取引先との会食代 ・お中元、お歳暮、お祝い品 ・打ち合わせ時のカフェ代 | 誰と、何のために支出したかを領収書の裏などにメモしておくと、事業関連性を証明しやすくなります。 |
| 消耗品費 | 使用期間1年未満または10万円未満のもの | ・文房具、コピー用紙 ・プリンターのインク ・USBメモリ ・9万円のオフィスチェア | 10万円以上するものは「減価償却資産」として、数年に分けて経費計上します(後述)。 |
| 減価償却費 | 10万円以上の高額な備品など | ・パソコン(15万円) ・業務用カメラ(30万円) ・自動車(事業用) | 法定耐用年数に応じて、購入費用を分割して毎年経費計上します。青色申告なら30万円未満まで一括経費にできる特例も。 |
| 広告宣伝費 | サービスや商品を宣伝するための費用 | ・Webサイト制作費、サーバー代 ・Web広告(リスティング、SNS広告)費 ・チラシ、パンフレットの印刷代 ・展示会への出展費用 | 事業の認知度や売上向上に直結する費用です。 |
| 新聞図書費 | 情報収集や学習のための書籍・資料代 | ・専門書、技術書の購入費 ・有料メールマガジン、新聞の購読料 ・オンラインサロンの会費 | 事業に直接関係する情報収集が目的であることが必要です。趣味の雑誌などは対象外です。 |
| 外注費 | 業務の一部を外部に委託した費用 | ・Webデザイナーへのロゴ制作依頼費 ・ライターへの記事執筆依頼費 ・アシスタントへの事務作業依頼費 | 契約書や発注書を保管し、業務内容を明確にしておきましょう。 |
業種別!見落としがちな経費(デザイナー・エンジニア・ライター等)
上記の一般的な経費に加え、職種によっては特有の経費が存在します。見落としがないかチェックしましょう。
| 職種 | 見落としがちな経費の例 |
|---|---|
| Webデザイナー・イラストレーター | ・デザインソフトのサブスクリプション料(Adobe Creative Cloudなど) ・有料フォント、ストックフォトの購入費 ・作品撮りのためのモデル代、スタジオ代 ・美術館や展示会の入場料(情報収集目的) |
| ITエンジニア・プログラマー | ・サーバーレンタル、ドメイン費用 ・技術書の購入費、技術系イベントの参加費 ・PC周辺機器(モニター、キーボードなど)の購入費 ・情報収集のための有料Webサービス利用料 |
| Webライター・編集者 | ・取材対象者への謝礼、取材時の交通費・飲食代 ・参考文献、専門書の購入費 ・コワーキングスペースの利用料 ・有料の文章校正ツールの利用料 |
| コンサルタント・士業 | ・業界団体への年会費 ・専門知識を維持するための研修会、セミナー参加費 ・顧客管理システム(CRM)の利用料 ・事務所のセキュリティソフト導入費 |
注意!フリーランスが経費にできないもの・判断に迷うグレーゾーン
経費計上は節税の基本ですが、誤った計上は税務調査で指摘されるリスクがあります。明確なNG例と、判断に迷うグレーゾーンの考え方を理解しておきましょう。
明確にNG!経費にできないものの具体例
以下の支出は、原則として経費にできません。
- 個人の生活費: 食費、プライベートな衣類、居住費(事業利用分を除く)
- 税金の支払い: 所得税、住民税、国民健康保険料、国民年金保険料
- 事業に関係ない支出: 趣味の道具の購入、家族旅行の費用
- スーツ代: ビジネス用途であっても、プライベートと兼用できるため原則NG
- 事業主自身の健康診断料: 健康管理は個人的なものと見なされるため
判断に迷いやすいグレーゾーン事例と判断のポイント
実務では、経費にできるか白黒つけがたい「グレーゾーン」の支出が発生します。
| 事例 | 判断のポイント |
|---|---|
| カフェでの作業代 | 「事業目的」を明確に説明できるかが鍵です。単なるランチはNGですが、「クライアントとの打ち合わせ」や「執筆作業」が目的なら、場所代として経費計上できる可能性があります。レシートに目的をメモしておきましょう。 |
| セミナー後の懇親会費 | 事業関連性で判断します。セミナー参加者と名刺交換し、将来のビジネスに繋がる可能性があるなら「接待交際費」として認められる可能性が高いです。一方で、旧友と話すのが目的であればNGです。 |
| 友人との食事代 | 原則NGです。しかし、その友人が見込み客を紹介してくれた場合など、明確に事業への貢献があれば「接待交際費」として計上できる余地があります。誰と、どんな目的で会食したかを記録しておくことが重要です。 |
【要注意】税務調査で指摘されやすい経費3選
税務調査では、客観的な証拠が示しにくい支出が厳しくチェックされる傾向にあります。特に以下の3点は、計上する際に十分な注意が必要です。
- 合理性のない家事按分: 事業利用の実態とかけ離れた高い割合(例:50%超)を設定している場合、その計算根拠を厳しく問われます。
- 内容が不透明な接待交際費: 「誰と」「何のために」支出したかが不明な高額な飲食代は、個人的な支出と見なされる可能性があります。
- プライベートとの境界が曖昧な支出: 事業用と私用の区別がつきにくい物品の購入費や旅費などは、事業関連性を明確に説明できなければ否認されるリスクがあります。
これらの経費は、なぜ事業に必要だったのかをいつでも説明できるよう、領収書へのメモ書きや業務日報などの形で根拠を残しておくことが極めて重要です。
【シミュレーター付】家事按分の計算方法と実践例
自宅を事務所として利用している場合、「家事按分」によって家賃や光熱費の一部を経費にできます。ここでは、その具体的な計算方法をシミュレーション付きで解説します。
面積や時間で按分!家事按分の基本的な計算方法
家事按分には、客観的で合理的な基準が必要です。一般的には以下の2つの方法が用いられます。
- 面積基準(地代家賃など)
- 計算式:
[家賃] × ([事業で使うスペースの面積] ÷ [家全体の面積]) - 用途: 家賃や火災保険料など、場所に関連する費用に使います。
- 計算式:
- 時間基準(水道光熱費・通信費など)
- 計算式:
[光熱費] × ([1日の事業時間] ÷ 24時間) - 用途: 電気代やインターネット料金など、時間に関連する費用に使います。
- 計算式:
【実践編】家賃10万円・在宅週5日の場合の計算シミュレーション
具体的な数値で計算してみましょう。
【条件】
- 家賃: 月100,000円
- 電気代: 月15,000円
- インターネット代: 月5,000円
- 自宅の間取り: 全体50㎡、うち仕事部屋10㎡
- 労働状況: 1日8時間、週5日(月20日)在宅で仕事
【計算結果】
| 経費項目 | 計算基準 | 計算式 | 月の経費額 | 年間の経費額 |
|---|---|---|---|---|
| 地代家賃 | 面積 | 100,000円 × (10㎡ ÷ 50㎡) | 20,000円 | 240,000円 |
| 水道光熱費 | 時間 | 15,000円 × (8時間 × 20日) ÷ (24時間 × 30日) | 3,333円 | 39,996円 |
| 通信費 | 時間 | 5,000円 × (8時間 × 20日) ÷ (24時間 × 30日) | 1,111円 | 13,332円 |
| 合計 | - | - | 24,444円 | 293,328円 |
このケースでは、年間約29万円もの金額を経費として計上できる計算になります。
按分割合は何%が妥当?目安と根拠資料の作り方
税務署に按分比率の妥当性を説明するためには、客観的な根拠資料が必要です。
- 面積按分の根拠:
- 自宅の間取り図(事業用スペースを色分けしておく)
- 賃貸借契約書
- 時間按分の根拠:
- 業務日報やタイムシート
- カレンダーアプリの稼働記録
一般的に、事業利用の割合が50%を超えると、税務署から説明を求められる可能性が高まります。実態とかけ離れた高い割合を設定するのは避け、誰が見ても合理的だと納得できる比率に設定しましょう。
関連記事:フリーランスは家賃は経費にできる?税務署に認められる家事按分の計算方法と割合を徹底解説!
【電子帳簿保存法対応】領収書・レシートの保管と管理の完全ガイド
経費を計上するには、その証拠となる領収書やレシートの保管が義務付けられています。ここでは、最新の法律に対応した保管方法を解説します。
保管期間は7年間!紙と電子データの正しい保管方法
領収書や帳簿などの書類は、確定申告の種類によって保管期間が異なります。
- 青色申告の場合: 原則7年間
- 白色申告の場合: 原則5年間
保管方法は「紙」と「電子データ」の2種類がありますが、前述の通り、メールで受け取った請求書などの「電子取引データ」は電子のまま保存することが義務づけられています。
電子帳簿保存法の要件とは?やるべきことリスト
電子データを保存する際は、電子帳簿保存法が定める以下の要件を満たす必要があります。
- 真実性の確保(データの改ざん防止)
- タイムスタンプが付与されたデータを受け取る
- 訂正や削除の履歴が残るシステムを利用する
- 訂正削除に関する事務処理規程を作成し、備え付ける
- 可視性の確保(すぐに見られる状態の維持)
- PC、ディスプレイ、プリンターなどを備え付ける
- 「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できるようにする
- 税務調査の際に、データを速やかに提示できるようにしておく
難しく聞こえますが、後述する会計ソフトの多くはこれらの要件に対応しているため、ツールを活用するのが最も簡単で確実な方法です。
経費管理を効率化するおすすめ会計ソフト・アプリ
日々の経費管理を手作業で行うのは非常に手間がかかります。会計ソフトを導入すれば、確定申告の手間を大幅に削減できます。
| ソフト名 | 特徴 | こんな人におすすめ |
|---|---|---|
| freee会計 | 簿記の知識がなくても直感的に操作できるUI。銀行口座やクレジットカード連携が強力。 | 初めて確定申告をする人、簿記が苦手な人 |
| マネーフォワード クラウド確定申告 | 機能が豊富で、細かな設定が可能。他サービスとの連携も多い。 | ある程度簿記の知識がある人、事業が拡大してきた人 |
| やよいの青色申告 オンライン | 老舗ならではの信頼感とサポート体制。シンプルな操作性が魅力。 | サポートを重視する人、シンプルな機能で十分な人 |
多くのソフトには、スマホアプリでレシートを撮影するだけで経費を自動入力してくれる機能があり、領収書の管理が格段に楽になります。
フリーランスの節税効果を最大化する実践テクニック
経費を正しく計上することで、実際にどのくらい税金が安くなるのでしょうか。ここでは具体的なシミュレーションと、さらなる節税テクニックを紹介します。
【年収別】経費計上でいくら税金が安くなる?節税シミュレーション
ここでは、年収(売上)別に、経費を計上した場合としなかった場合で、所得税・住民税がどれくらい変わるかをシミュレーションします。
※基礎控除48万円、青色申告特別控除65万円を適用。社会保険料は年収の15%と仮定。復興特別所得税も考慮。
【年収400万円のケース】
| 項目 | 経費なし | 経費100万円計上 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 課税所得 | 227万円 | 127万円 | -100万円 |
| 所得税・住民税 | 約35.4万円 | 約18.1万円 | -17.3万円 |
【年収600万円のケース】
| 項目 | 経費なし | 経費150万円計上 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 課税所得 | 397万円 | 247万円 | -150万円 |
| 所得税・住民税 | 約76.6万円 | 約43.4万円 | -33.2万円 |
【年収800万円のケース】
| 項目 | 経費なし | 経費200万円計上 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 課税所得 | 567万円 | 367万円 | -200万円 |
| 所得税・住民税 | 約128.9万円 | 約70.6万円 | -58.3万円 |
このように、経費を漏れなく計上することで、年間数十万円単位で手取り額が増えることが分かります。
青色申告(65万円控除)との組み合わせで節税効果を最大化する方法
フリーランスの節税は、経費計上と「青色申告」を組み合わせることで効果が最大化します。青色申告には、主に以下のメリットがあります。
- 最大65万円の青色申告特別控除: 所得から最大65万円を無条件で差し引ける。
- 赤字の繰越し: 事業が赤字になった場合、その赤字を翌年以降3年間にわたって繰り越せる。
- 家族への給与を経費にできる: 生計を共にする家族への給与を「専従者給与」として経費にできる。
特に65万円の控除は非常に強力です。経費計上と組み合わせることで、課税所得を大幅に圧縮できます。e-Tax(電子申告)で確定申告を行うことで65万円控除の適用を受けられるため、会計ソフトの利用が前提となります。
経費以外も!iDeCoや小規模企業共済を活用した節税術
経費計上以外にも、フリーランスが活用できる節税制度はたくさんあります。
- iDeCo(個人型確定拠出年金): 掛け金が全額所得控除の対象。将来の年金を準備しながら節税できる。
- 小規模企業共済: フリーランスの退職金制度。掛け金が全額所得控除の対象。
- ふるさと納税: 自治体への寄付額のうち2,000円を超える部分が所得税・住民税から控除される。
これらの制度をうまく活用することで、経費計上だけではカバーしきれない部分の所得を圧縮し、さらなる節税が可能です。
フリーランスの経費に関するよくある質問
Q. 食事代・ランチ代は経費になりますか?
一人での食事代は、原則として経費にはなりません。これは事業主の生活費と見なされるためです。ただし、取引先との打ち合わせを兼ねた会食であれば「接待交際費」として経費にできます。また、出張先での食事など、特別な状況下では「旅費交通費」の一部として認められる場合もあります。
Q. 自宅のインターネット代やスマホ代はどう分ける?
家事按分で経費計上します。最も合理的なのは「時間」で按分する方法です。例えば、「平日は1日8時間仕事で使う」という実態があれば、稼働時間に応じた割合で経費計上します。按分の根拠となる業務記録などを残しておきましょう。
Q. 健康診断や人間ドックの費用は経費にできますか?
フリーランス本人の健康診断費用は、残念ながら経費にはなりません。福利厚生費は従業員を対象とするものであり、事業主自身は対象外となります。ただし、従業員を雇用しており、全従業員を対象に会社負担で健康診断を実施する場合は「福利厚生費」として経費にできます。
Q. 開業前の費用は経費にできますか?
はい、「開業費」として経費にできます。開業準備のためにかかった費用(打ち合わせの交通費、PC購入費、事務用品代など)の領収書は必ず保管しておきましょう。開業費は、任意の年に任意の金額を償却(経費化)できるため、利益が出た年に経費として計上し、税負担を調整することが可能です。
Q. 経費で赤字になった場合、どうなりますか?
事業所得が赤字になった場合、青色申告であれば、その赤字を翌年以降3年間にわたって繰り越すことができます(純損失の繰越控除)。例えば、今年100万円の赤字で、翌年300万円の黒字が出た場合、翌年の所得を「300万円 - 100万円 = 200万円」として申告でき、税負担を軽減できます。白色申告にはこの制度はありません。
まとめ:正しい経費管理でフリーランスの手取りを最大化しよう
この記事では、フリーランスの経費に関する知識を網羅的に解説しました。最後に、重要なポイントを振り返ります。
- 経費の基本: 事業の売上を得るために直接必要な支出が経費になる。
- 判断基準: 「事業との関連性」を客観的に説明できるかが全て。
- 家事按分: 自宅兼事務所の場合、家賃や光熱費は面積や時間で按分して経費にできる。
- 最新制度: インボイス制度と電子帳簿保存法への対応は必須。
- 節税の最大化: 経費計上と「青色申告」、iDeCoなどを組み合わせるのが最も効果的。
- 効率化: 会計ソフトを導入すれば、経費管理と確定申告の手間が大幅に削減できる。
経費を正しく理解し、漏れなく計上することは、フリーランスが自身の働き方と収入を守るための最高の防御策です。
日々の領収書管理を習慣づけ、不明な点があれば税理士などの専門家に相談しながら、賢く事業を運営していきましょう。