- 対象: SEOの目標が「絵に描いた餅」になりがちな経営者・マーケティング担当者様
- 結論: 計算式に「リソース(予算・工数)」を含め、3つのシナリオ(松・竹・梅)で管理する。
- 理由: 多くの失敗原因は「予測の精度」ではなく、実行体制(リソース)の欠如にあるから。
- 解決策: 以下の「4つのステップ」で、経営と現場が合意できる現実的なロードマップを設計します。
「SEOの目標を立てろと言われたが、妥当な数字がわからない」
「目標PVを決めても、結局達成できずに『絵に描いた餅』で終わってしまう」
企業のWeb担当者や経営者の方から、このような相談を頻繁にいただきます。
SEOは外部要因(Googleのアルゴリズム)の影響を強く受けるため、Web広告のように「予算投下=成果」という確実な予測が難しい施策です。
しかし、だからといって「どんぶり勘定」で進めれば、貴重な予算と時間を浪費するだけです。
本記事では、数々の企業でマーケティングPM(プロジェクトマネージャー)として現場を指揮してきた当社(株式会社サイダーストーリー)が、「経営者が納得する論理的な計算式」と、「現場が疲弊しない現実的なリソース配分」を組み合わせた、実践的な目標設定フローを解説します。
単なる計算遊びではなく、事業成長に直結する「生きたロードマップ」を描きましょう。
炭田一樹記事を読みながら、自社の「リソース(人員・予算)」を書き出してみてください。
計算式に当てはめることで、実現可能な目標値が見えてきます。
SEOの目標設定が重要な理由と「KGI・KPI」の基本構造
なぜSEOに数値目標が必要なのでしょうか。
「順位を上げること」自体を目的にしていませんか?
ここではまず、目標設定の基本となる「KGI」と「KPI」の関係性を整理します。
なぜSEOに数値目標(マイルストーン)が必要なのか
SEOは成果が出るまでに時間がかかる(通常6ヶ月〜1年)施策です。
目標がないまま進めると、以下のリスクに直面します。
- 投資対効果(ROI)が見えない: いつの時点で、どれくらいの利益が出るのか経営判断ができません。
- 施策のブレ: 「順位」「PV」「CV」のどれを優先すべきか迷い、現場が混乱します。
- 評価の不透明さ: 担当者が頑張っているのか、成果が出ていないのか客観的に判断できません。
目標は、長く暗いトンネルを走るための「道しるべ(マイルストーン)」です。
最終ゴール「KGI」と中間指標「KPI」の違い
目標設定で最も重要なのは、「最終ゴール」と「中間指標」を混同しないことです。
| 用語 | 意味 | SEOにおける例 |
|---|---|---|
| KGI (Key Goal Indicator) | 重要目標達成指標。 ビジネスの最終的なゴール。 | ・売上高 ・粗利益 ・成約数(受注数) |
| KPI (Key Performance Indicator) | 重要業績評価指標。 KGIに到達するための中間プロセス。 | ・自然検索流入数(Session) ・CV数 ・検索順位 ・CTR |
KGIを頂点としたロジックツリー
売上(KGI)
└ 受注数
└ リード獲得数(CV)
└ 自然検索流入数(SEO KPI) × CVR
SEOのKPI(流入数や順位)は、あくまでKGI(売上)を達成するための手段に過ぎません。
「順位は上がったが、売上は変わらない」というのは、目標設定の設計ミスです。
サイトの成長フェーズで見るべき指標は変わる
サイトの状態によって、追うべき指標は変化します。
最初から「売上」だけを追うと、初期フェーズで挫折します。
- 立ち上げ期(0〜6ヶ月): インデックス数、表示回数(まずはGoogleに認知されること)
- 成長期(6〜12ヶ月): 検索順位、クリック数、セッション数(流入を増やす)
- 成熟期(1年以上): CV数、CVR、LTV(質を高めて売上に繋げる)



「とりあえずPVを倍に」というオーダーは危険信号です。
質の悪いPVの増加は、サーバー負荷と問い合わせ対応コスト(質の低いリード)を増やす「負債」になり得ます。
常に「KGI(売上)に繋がるか?」を問い続けましょう。
成果を可視化するSEOの「重要指標(KPI)」7選
KGI(売上)から逆算する際、具体的にどの指標をKPIに設定すべきか。
SEOの現場で頻出する「重要指標7選」を整理しました。
自社のフェーズに合わせて選択してください。
| 優先度 | 指標名 | 概要 | 見るべきフェーズ |
|---|---|---|---|
| 高 | 1. オーガニックセッション数 | 自然検索経由の訪問数。 最も基本的な指標。 | 全フェーズ |
| 高 | 2. コンバージョン数 (CV) | 問い合わせ、資料請求、購入などの成果数。 | 成長期〜成熟期 |
| 中 | 3. 検索順位 (Rank) | 狙ったキーワードでの表示順位。 | 立ち上げ期〜成長期 |
| 中 | 4. クリック率 (CTR) | 検索結果に表示された回数のうち、クリックされた割合。 | 成長期〜成熟期 |
| 中 | 5. 掲載ページ数 | インデックス(Googleに登録)されたページ数。 | 立ち上げ期 |
| 低 | 6. ドメイン評価 (DR/DA) | ツール独自の指標。サイトの強さの目安。 | 参考程度 |
| 低 | 7. 離脱率・滞在時間 | 記事の品質を測る指標。 | 成熟期 |
1. オーガニックセッション数(Organic Session)
広告を除いた、検索エンジンからの純粋な訪問数です。
「PV(ページビュー)」よりも、訪問者数を表す「セッション」を重視するのが一般的です。


2. コンバージョン数(CV)・CVR
SEOの目的が「集客」ではなく「売上」である場合、最も重要な指標です。
- CV数: 成果の総数
- CVR (Conversion Rate): 訪問者のうちCVに至った確率(目安:1%前後)
3. 検索順位(Rank)
「ビッグワードで1位」は分かりやすい目標ですが、順位は手段です。
1位でもクリックされなければ意味がありません。
特定の重要キーワード群(商標名など)に絞って定点観測しましょう。
4. クリック率 (CTR)
順位がついているのに流入が少ない場合、タイトルやメタディスクリプションに問題があります。
順位ごとの平均CTR(1位なら約20〜30%)と自社数値を比較します。
5. 掲載ページ数(インデックス数)
サイト立ち上げ初期は、まず「ページを作ってGoogleに認識させること」が目標になります。
Google Search Consoleのカバレッジレポートで確認します。
6. ドメイン評価(DR/DA)
Ahrefs(DR)やMoz(DA)などの外部ツールが算出する指標です。
競合との力関係を把握する目安にはなりますが、Google公式の指標ではないため、KPIの主軸にはしません。
7. 離脱率・滞在時間
流入後のユーザー満足度を測ります。
記事を読ませるオウンドメディアでは重要ですが、すぐに解決して離脱する辞書的なサイトでは、滞在時間が短くても問題ない場合があります。



指標は「増やせばいい」ものではありません。
例えば「滞在時間」は、長ければ良いとは限らず、ユーザーが迷っている可能性もあります。
「ユーザーの満足」を数値化できているかという視点で選びましょう。


【実践】おすすめの目標設定の4ステップ
ここからが本記事の核心です。
多くの目標設定記事は計算式だけで終わりますが、実行体制(リソース)が伴わなければ、その計算は画餅に帰します。
サイダーストーリーが実際のプロジェクトで使用している、リソース連動型の設定フローを公開します。
STEP1. 現状把握(As-Is)とギャップの特定
まずは現在地を知らなければ、目的地へのルートは描けません。
- 現在のセッション数 / CV数
- 現在の記事制作体制(月何本公開できているか)
- サイトの技術的負債(表示速度、内部構造の課題)
これらを洗い出し、理想(To-Be)とのギャップを明確にします。
STEP2. KGI(売上)からの逆算シミュレーション【計算式あり】
目標とする売上から、必要なセッション数を逆算します。
【例:月間売上100万円をSEOで作りたい場合】
- 客単価:10万円
- 必要受注数:10件(100万 ÷ 10万)
- 受注率(商談→成約):20%
- 必要リード数(CV):50件(10件 ÷ 20%)
- サイトのCVR:1.0%
- 必要セッション数:5,000セッション(50件 ÷ 1.0%)
これで「月間5,000セッション」というKPIの最低ラインが見えました。
STEP3. 必要記事数と工数(リソース)の算出
ここが最も重要です。
「5,000セッションを集めるために、何本の記事を、誰が書くのか?」を計算します。
1.1記事あたりの想定流入数
- キーワードの検索ボリューム × 想定順位のCTR
- (例)ボリューム1,000 × 5位(CTR 5%) = 50セッション/記事
2.必要記事数
- 目標5,000セッション ÷ 50セッション = 100記事
3.必要工数・予算
- 1記事の制作時間:平均10時間(構成〜執筆〜確認)
- 総工数:100記事 × 10時間 = 1,000時間
- 外注費(例:1本3万円):100記事 × 3万円 = 300万円
「半年で1,000時間を捻出できますか? 300万円の予算はありますか?」
この問いにYESと答えられない場合、目標数値を下げるか、予算を増やす(リソースを調達する)必要があります。
STEP4. 期限設定とロードマップ化
算出した工数を、現実的な期間(6ヶ月〜1年)に配分します。
- 最初の3ヶ月:土台作りと記事制作(成果は出ない期間)
- 次の3ヶ月:順位上昇とリライト(成果が出始める期間)
このように、「リソースの限界」を考慮した階段状のグラフを作成します。



計算結果を見て「無理だ」と思ったら、選択肢は2つです。
目標を下げるか、リソース(人・金)を増やすか。
PMの仕事は、この「冷徹な二択」を経営者に提示し、合意形成を図ることから始まります。
「計算シートを作る時間がない」「現状の数字が正しいか不安」という方へ
SIDER STORYでは、プロのPMが現状分析から目標シミュレーションまでを代行する「無料診断」を行っています。


不確実性を味方につける「3つのシナリオ(松・竹・梅)」設計法
完璧な計画を立てても、Googleのアルゴリズム変動や競合の動きは予測できません。
一点張りの目標はリスクが高すぎます。
私たちは「幅」を持たせた3つのシナリオを推奨しています。
一点張りは危険。「幅」を持たせた目標管理
上司やクライアントと握るべきは、「絶対達成する数字」ではなく「想定される範囲(レンジ)」です。
松(Best):市場環境が追い風の場合の理想値
- 前提: 狙ったビッグワードで1位を獲得、アルゴリズム変動で評価上昇、SNSでのバズ発生。
- 用途: チームの士気を高めるための「ストレッチ目標」。
- 目安: 計算値の120〜150%。
竹(Normal):過去の成長率に基づく標準値
- 前提: 過去の実績や、一般的なCTRに基づいた堅実な推移。
- 用途: 予算達成の基準となる「必達目標」。
- 目安: 計算値の100%。STEP2で算出した数字。
梅(Worst):最低限守るべき撤退ライン
- 前提: 競合の攻勢、順位の下落、制作遅延などトラブル発生時。
- 用途: 事業継続の可否を判断する「防衛ライン」。
- 目安: 計算値の70〜80%。このラインを下回ったら、戦略の抜本的な見直し(ピボット)を行うと事前に決めておきます。



「梅(Worst)」のシナリオを最初に合意しておくことが、精神安定上きわめて重要です。
悪い状況になったとき、「想定内です。次の手(リライトや広告併用)を打ちましょう」と冷静に提案できるからです。
その目標設定は危険かも?追ってはいけない「NG指標」5選
「何を追うか」以上に重要なのが、「何を追わないか」です。
特に法人取引(BtoB)や高単価商材の場合、一般論で語られる指標が、実は事業の足を引っ張ることがあります。
| NG指標 | なぜ追ってはいけないのか? |
|---|---|
| 1. 質の伴わない「総PV数」 | ターゲット外のユーザーを集めても、問い合わせ対応コストが増えるだけです。 |
| 2. 売上直結しない「ビッグワード順位」 | 「SEO」単体で1位を取るなど、難易度が高くCVRが低いワードへの執着は予算の無駄です。 |
| 3. 手段が目的化した「記事本数」 | 「月10本更新」が目的化すると、低品質な記事が量産され、サイト全体の評価を下げます。 |
| 4. 立ち上げ期の「CV数」 | 流入がない時期にCVは発生しません。時期尚早なCV目標は現場を疲弊させます。 |
| 5. 他社との「ドメインパワー比較」 | ユーザーはドメインパワーを見て商品を買いません。競合比較よりも自社のユーザーを見ましょう。 |



弊社の支援した税理士事務所の事例では、CPA(獲得単価)が高騰しても「CV数」を追うことをやめ、「受任率(成約率)」の高いキーワードに絞り込みました。
結果、流入は減りましたが、売上・利益は大幅に改善しました。捨てる勇気を持ちましょう。
目標達成の壁は「計画」ではなく「実行と修正」にある
ここまで読めば、論理的な目標設定は可能です。
しかし、SEOプロジェクトの8割は計画通りに進みません。なぜでしょうか?
多くのプロジェクトが未達に終わる「要因分解」
目標未達の要因は、大きく2つに分解できます。
- 戦略ミス: 狙うキーワードが間違っている(競合が強すぎる、検索されない)。
- 実行不足(リソース不足): 計画した記事数が作れない、質の高い記事が書けない、改修の手が回らない。
私たちの経験上、失敗の9割は「2. 実行不足」に起因します。
「100記事必要」と分かっていても、社内に書ける人がいない。
兼任担当者が忙しくて手が回らない。これが現実です。
状況に合わせてゴールを動かす「変動型マネジメント」の難しさ
また、Googleの変動や競合の動きに合わせて、毎月リソース配分を調整する(例:新規記事を止めてリライトに回す)には、高度な判断力とPMスキルが必要です。
片手間の担当者が、この複雑な操縦を行うのは困難です。
戦略から実装までを担う「マーケティング担当者代行」という選択肢
「計画は立てたが、実行する人がいない」
「状況が変わったときの判断ができない」
このような課題をお持ちの場合、外部の専門家を「社員の代替」としてチームに組み込む方法があります。
サイダーストーリーの「マーケティング担当者代行」は、単なるアドバイス(コンサル)ではなく、戦略立案から記事制作のディレクション、進捗管理までを一気通貫で担います。
サービスの特長
- PM視点: 経営資源(リソース)とKGIを接続し、実行可能な計画を策定。
- 実装力: 社内外のクリエイターを束ね、質の高いコンテンツを継続的に生産。
- 柔軟性: 状況に合わせて、SEO以外の施策(広告・SNS)も含めた全体最適を提案。
まとめ:事業成長に直結する「生きたSEO戦略」を
SEOの目標設定において最も大切なことは、「絵に描いた餅」を作らないことです。
- KGI(売上)から論理的に逆算する。
- その数字を達成するための「リソース(工数・予算)」を直視する。
- 不確実性に備えて「3つのシナリオ(松竹梅)」を用意する。
この3点を守れば、経営者も現場も納得できる、強力な指針が完成します。
もし、「自社だけではリソースの計算が難しい」「実行部隊が足りない」と感じられたら、ぜひ株式会社サイダーストーリーにご相談ください。
貴社の事業フェーズに合わせた、最適なチームとロードマップをご提案します。



