- 対象: ホームページ制作の費用感がわからず、見積もりの妥当性を判断できない中小企業の経営者・Web担当者
- 結論: 中小企業のHP制作費は30万〜80万円が中心価格帯だが、目的・依頼先・CMSで大きく変動する
- 理由: 同じページ数でもデザイン方針・コンテンツ制作の有無・運用体制によって費用構造が異なるため
- 解決策: 制作の目的を言語化し、見積もりは「総額」ではなく「内訳」で比較、維持費込みの3年総コストで判断する
中小企業がホームページ制作を外注する場合、費用相場は30万〜150万円です。ただし「相場を知っている」だけでは適正価格の判断はできません。制作の目的・依頼先・CMS・運用体制によって、同じ10ページのサイトでも30万円で済むケースと200万円を超えるケースがあります。
この記事では、ホームページ制作の費用を「規模別」「目的別」「依頼先別」に分解し、見積もりの裏側にある費用構造まで解説します。さらに、公開後に見落としがちな維持費・運用費の相場も整理しました。「結局いくらかかるのか」を、制作前に正しく把握するための判断材料としてお使いください。
ホームページ制作費用の相場一覧【規模別・早見表】
ホームページ制作の費用は、サイトの規模(ページ数)とデザインの作り込み度合いで大きく変動します。まず全体像を把握してください。
| サイト規模 | ページ数目安 | 費用相場 | 制作期間目安 |
|---|---|---|---|
| 小規模(名刺代わり) | 1〜5ページ | 10万〜30万円 | 2週間〜1ヶ月 |
| 中規模(集客型コーポレート) | 5〜15ページ | 30万〜80万円 | 1〜2ヶ月 |
| 大規模(多機能・EC連携) | 15ページ以上 | 80万〜300万円以上 | 2〜4ヶ月 |
中小企業が最も多く依頼するのは「中規模」の価格帯です。会社概要・サービス紹介・実績・お問い合わせフォーム・ブログ機能を備えた構成で、30万〜80万円が現実的なラインになります。
注意すべきは、ページ数だけで費用が決まるわけではないという点です。オリジナルデザインか、テンプレートベースか。写真撮影やライティングを含むか。これらの条件で同じ10ページでも費用は倍以上変わります。
炭田一樹「安い=悪い」ではない。自社の目的に合った規模感を先に決めることが、適正価格で発注する第一歩です。
目的別に見るホームページ制作費用の違い
同じ「ホームページ」でも、制作の目的によって必要な機能・設計が異なり、費用にも差が出ます。中小企業がよく依頼する4つの目的別に整理します。
コーポレートサイト(会社案内型)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用相場 | 20万〜80万円 |
| 主な構成 | 会社概要・事業内容・代表挨拶・アクセス・お問い合わせ |
| ポイント | デザインの品質と更新のしやすさが判断基準 |
名刺交換後に「会社名で検索されたとき」の受け皿です。凝った機能は不要ですが、信頼感のあるデザインと正確な情報掲載が求められます。
集客型サイト(SEO・広告連動)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用相場 | 50万〜150万円 |
| 主な構成 | LP・ブログ・事例ページ・CTA設計・GA4連携 |
| ポイント | 制作後の運用設計(SEO・広告)まで含めて検討する |
Web経由で問い合わせや資料請求を獲得する目的のサイトです。制作費だけでなく、公開後の集客施策(SEO記事制作・広告運用)の費用も合わせて予算を組む必要があります。制作だけに予算を使い切ると、公開後に「集客できない箱」が残るリスクがあります。
ECサイト(ネットショップ)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用相場 | 50万〜300万円以上 |
| 主な構成 | 商品一覧・カート・決済・会員管理・在庫管理 |
| ポイント | Shopify等のSaaS型か、フルスクラッチかで費用が大きく変動 |
決済機能・在庫管理・配送連携など、機能要件が多いため費用は高めになります。Shopifyなどの既製プラットフォームを活用すれば50万〜100万円に抑えることも可能ですが、独自機能を開発する場合は200万円以上かかるケースも珍しくありません。
ランディングページ(LP)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用相場 | 5万〜40万円 |
| 主な構成 | 1ページ完結型。ファーストビュー・訴求・CTA |
| ポイント | コピーライティングの質がコンバージョンを左右する |
広告からの流入を受けるための1ページ完結型サイトです。ページ数は少ないものの、コピーライティング・デザイン・構成の設計力が成果に直結します。安価なテンプレートLPは3万〜10万円、戦略設計込みのLPは20万〜40万円が目安です。



目的が曖昧なまま「とりあえずホームページを」で発注すると、制作後に「これじゃない」が起きます。制作費の前に、目的の言語化に時間を使ってください。
制作会社 vs フリーランス|依頼先別の費用と特徴
ホームページ制作の依頼先は大きく3つに分かれます。同じ成果物でも、依頼先によって費用は1.5〜3倍の差が出ます。
| 比較項目 | フリーランス | 小規模制作会社(5〜20名) | 大手制作会社・代理店 |
|---|---|---|---|
| 費用相場(10ページ) | 15万〜50万円 | 50万〜150万円 | 150万〜500万円 |
| デザイン品質 | 担当者の力量次第 | 安定した品質 | ブランディング込みの高品質 |
| コミュニケーション | 直接やり取り・レスポンス早い | ディレクター経由 | 複数階層の確認フロー |
| 対応範囲 | デザイン+コーディングが中心 | 企画〜運用まで一気通貫 | マーケティング戦略込み |
| リスク | 廃業・連絡途絶リスク | 比較的安定 | 担当者変更リスク |
| 納期 | 短め(1〜4週間) | 標準(1〜3ヶ月) | 長め(2〜6ヶ月) |
フリーランスが向いているケース
- 予算が30万円以下で、シンプルな構成のサイトを作りたい
- デザインの方向性が明確で、細かい要件定義を自社でできる
- 制作後の運用・保守は自社で対応できる体制がある
制作会社が向いているケース
- 集客・ブランディングまで含めた設計を依頼したい
- 社内にWeb担当者がおらず、公開後の運用も任せたい
- 複数ページ・複数機能の大規模サイトを制作する
費用差が生まれる構造的な理由
制作会社の見積もりがフリーランスより高いのは、ディレクション費・進行管理費・品質管理費が上乗せされるためです。制作会社では「ディレクター → デザイナー → コーダー → チェック担当」と分業体制を組むため、その分の人件費が費用に反映されます。
一方、フリーランスは1人で全工程を担当するため人件費が抑えられますが、大規模案件やトラブル時の対応力に限界があります。



安さだけでフリーランスを選ぶと「作って終わり」になりがちです。公開後に誰が面倒を見るかまで含めて依頼先を決めてください。
CMS選定と費用への影響|WordPress・Wix・ノーコードの比較
CMSの選択は制作費だけでなく、公開後の運用コストにも長期的な影響を与えます。中小企業が検討する主要なCMSを比較します。
| 比較項目 | WordPress | Wix | Jimdo | STUDIO |
|---|---|---|---|---|
| 初期制作費 | 30万〜150万円 | 10万〜50万円 | 5万〜30万円 | 20万〜80万円 |
| 月額運用コスト | 1,000〜5,000円(サーバー・ドメイン) | 1,300〜3,800円(有料プラン) | 990〜5,190円 | 0〜2,480円 |
| SEO対応 | 高い(プラグインで細かく設定可) | 中程度(基本機能は揃う) | 低〜中 | 中〜高 |
| カスタマイズ性 | 非常に高い | 中程度(テンプレート依存) | 低い | 中程度 |
| 更新の容易さ | 中程度(管理画面から操作) | 高い(ドラッグ&ドロップ) | 高い | 高い |
| セキュリティ | 自社管理が必要(更新・対策) | プラットフォーム側で対応 | プラットフォーム側で対応 | プラットフォーム側で対応 |
WordPressが適しているケース
- ブログやコラムを定期的に更新してSEO集客を狙う
- 将来的に機能拡張(予約システム・会員機能等)の可能性がある
- 制作会社に依頼し、しっかりした初期構築を行う予算がある
WordPressは全世界のWebサイトの約60%以上で使われているCMSです。プラグインが豊富でカスタマイズ性が高い反面、セキュリティアップデートやプラグイン管理を自社で行う必要があります。
Wix・ノーコードツールが適しているケース
- 制作予算を20万円以下に抑えたい
- 社内スタッフが自分で更新・編集したい
- シンプルな会社案内サイトで、高度なSEO施策は当面不要
Wixやノーコードツールは「手軽さ」と「低コスト」が強みです。ただし、サイト規模が大きくなったときの拡張性や、細かいSEOチューニングには限界があります。
CMSなし(静的HTML)という選択肢
更新頻度が極めて低い場合、CMSを使わず静的HTMLで制作するケースもあります。初期費用は安くなりますが、更新のたびに制作会社への依頼が発生するため、長期的なコストは高くなる可能性があります。



CMSは「何を使うか」より「公開後に誰がどう運用するか」から逆算して選ぶのが正解です。運用体制が決まっていないのにWordPressを選ぶと、更新されないサイトが残ります。
見積もりの内訳を理解する|何にいくらかかるのか
ホームページ制作の見積書には、複数の工程ごとに費用が計上されます。内訳を理解しておくと、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。
| 工程 | 内容 | 費用目安(中規模サイト) | 全体に占める割合 |
|---|---|---|---|
| ディレクション | 要件定義・ワイヤーフレーム・進行管理 | 5万〜20万円 | 10〜20% |
| デザイン | トップページ+下層ページのビジュアル制作 | 10万〜40万円 | 25〜35% |
| コーディング | HTML/CSS/JSへの変換・レスポンシブ対応 | 10万〜30万円 | 20〜30% |
| CMS構築 | WordPress等のテーマ設定・カスタマイズ | 5万〜20万円 | 10〜15% |
| コンテンツ制作 | テキストライティング・写真撮影 | 5万〜20万円 | 10〜15% |
| テスト・公開 | ブラウザチェック・ドメイン設定・公開作業 | 3万〜10万円 | 5〜10% |
見積もりで確認すべき3つのポイント
1. 「デザイン」にどこまで含まれるか
トップページのデザインだけなのか、下層ページのデザインも含むのか。スマートフォン対応(レスポンシブ)は追加費用なのか。この範囲が曖昧だと、あとから追加費用が発生します。
2. 「コンテンツ制作」は誰がやるか
原稿(テキスト)や写真を自社で用意するのか、制作会社が取材・撮影まで対応するのか。自社で用意する場合は見積もりから外れますが、その分の工数が社内で発生します。
3. 修正回数の上限
「デザイン修正2回まで」「コーディング後の修正は別途費用」といった条件は、見積書の備考欄に記載されていることが多いです。確認を怠ると、修正のたびに追加費用を請求されるトラブルにつながります。



見積もりは「総額」ではなく「内訳」で比較してください。安い見積もりほど、含まれていない項目が多い傾向があります。
公開後の維持費・ランニングコスト
ホームページは「作って終わり」ではありません。公開後には毎月・毎年のランニングコストが発生します。制作費だけで予算を組むと、維持費が捻出できなくなるケースがあります。
最低限かかる固定費
| 項目 | 費用目安(年間) | 備考 |
|---|---|---|
| サーバー代 | 6,000〜24,000円 | 共用サーバーで月500〜2,000円 |
| ドメイン代 | 1,000〜5,000円 | .co.jpは約4,000〜5,000円/年 |
| SSL証明書 | 0〜20,000円 | 無料SSL(Let’s Encrypt)で対応可 |
自社管理の場合、最低限の維持費は年間1万〜3万円程度に収まります。
制作会社に保守を依頼する場合
| サービス内容 | 月額費用目安 |
|---|---|
| 最低限の保守(サーバー監視・バックアップ) | 3,000〜10,000円 |
| 軽微な更新対応込み(テキスト・画像差し替え) | 10,000〜30,000円 |
| コンテンツ更新+アクセス解析レポート | 30,000〜50,000円 |
| 本格的な運用代行(SEO・広告運用含む) | 50,000〜150,000円以上 |
中小企業で多いのは、月額1万〜3万円の「軽微な更新対応込み」の保守プランです。
見落としがちな隠れコスト
- WordPress本体・プラグインの更新費用: セキュリティ対策のため定期的な更新が必要。放置するとサイトが改ざんされるリスクがある
- 写真・イラストの素材費用: 有料素材を使う場合、年間数千〜数万円
- フォーム・予約システムの月額費用: 外部サービスと連携している場合、月額数百〜数千円
- リニューアル費用: 3〜5年でデザインやシステムの老朽化により、リニューアルが必要になるケースが多い



制作費50万円+維持費月2万円なら、3年間の総コストは122万円です。「初期費用の安さ」だけでなく、3年間の総コストで比較する視点を持ってください。
費用を適正に抑える5つの方法
費用を「安くする」のではなく、「必要な品質を保ちながら適正な価格にする」ための方法を整理します。
1. 目的と優先順位を明確にしてから依頼する
「あれもこれも」と要望を詰め込むと費用は膨らみます。「今回の制作で達成すべきこと」と「将来の拡張で対応すべきこと」を分けて伝えるだけで、見積もりは適正化されます。
2. コンテンツ(テキスト・写真)を自社で用意する
ライティングや撮影を制作会社に依頼すると5万〜20万円の追加費用が発生します。自社で用意できるなら、その分のコスト削減が可能です。ただし、コンテンツの質がサイト全体の品質を左右するため、「安くするために自作」が逆効果になることもあります。
3. テンプレートデザインを活用する
フルオリジナルデザインは20万〜50万円かかりますが、既製テンプレートをベースにカスタマイズすれば10万〜20万円で済むケースがあります。デザインへの強いこだわりがなければ、テンプレート活用は合理的な選択です。
4. 補助金・助成金を活用する
中小企業がIT導入を行う際に利用できる補助金があります。
| 補助金名 | 補助率 | 上限額 | ホームページ制作への適用 |
|---|---|---|---|
| IT導入補助金 | 1/2〜3/4 | 最大450万円 | ECサイト等のITツール導入が対象。単純なHP制作は対象外の場合あり |
| 小規模事業者持続化補助金 | 2/3 | 最大50万円(通常枠) | ウェブサイト関連費は補助対象経費の1/4が上限 |
| 各自治体の独自補助金 | 自治体により異なる | 数万〜数十万円 | 条件は自治体ごとに確認が必要 |
補助金は申請〜採択まで数ヶ月かかるため、制作スケジュールに余裕を持って計画してください。また、補助対象となる経費の範囲は制度ごとに異なるため、必ず最新の公募要領を確認してください。
5. 制作と運用を分けて発注する
「制作は制作会社に、運用はマーケティング会社に」と分けることで、それぞれの専門領域に適正な費用で依頼できます。制作会社に運用まで丸投げすると、マーケティングの専門性が不足するケースがあります。



費用を削りすぎると「成果が出ないホームページ」が完成します。削るべきは「不要な機能」であって、「設計の質」ではありません。
失敗しない制作会社の選び方|見積もり比較の判断基準
「3社から見積もりを取る」のは正しいステップですが、金額だけで比較すると失敗します。以下の判断基準で比較してください。
見積もり比較で見るべき5項目
| 比較項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 制作実績 | 自社と同業種・同規模の制作実績があるか |
| 制作後のサポート体制 | 公開後の修正・更新対応の範囲と費用 |
| 担当者のレスポンス | 見積もり段階での対応速度と質 |
| 制作プロセスの透明性 | ワイヤーフレーム → デザイン → 実装の各段階で確認の場があるか |
| 成果への関心 | 「作ること」だけでなく「作った後の集客」にも言及があるか |
要注意の見積もりパターン
- 「一式」表記が多い: 内訳が不明確な見積もりは、追加費用トラブルの温床になる
- 初期費用0円・月額固定: リース契約型で、途中解約できない or 総額が割高になるケースがある
- 相場の半額以下: テンプレート流用・外注の再外注(孫請け)の可能性がある
RFP(提案依頼書)を作成する
制作会社に見積もりを依頼する際、以下の情報を整理して渡すと、見積もりの精度が上がります。
- サイトの目的(会社案内 / 集客 / EC / 採用)
- 希望ページ構成と主要コンテンツ
- 参考サイト(デザインの方向性)
- 公開希望時期
- 予算感(「30万〜50万円で」と伝えてよい)
- 公開後の運用体制(自社更新か、保守委託か)



RFPを作ること自体が、自社の要件整理になります。面倒に見えて、結果的に制作期間の短縮と費用の適正化につながります。
よくある質問(FAQ)
まとめ|費用相場を知った上で「何に投資するか」を決める
ホームページ制作の費用相場を改めて整理します。
| 分類 | 費用相場 |
|---|---|
| 小規模サイト(1〜5ページ) | 10万〜30万円 |
| 中規模コーポレートサイト | 30万〜80万円 |
| 集客型サイト | 50万〜150万円 |
| ECサイト | 50万〜300万円以上 |
| 維持費(自社管理) | 月額1,000〜3,000円 |
| 維持費(保守委託) | 月額1万〜3万円 |
費用相場を把握することは大切ですが、最も重要なのは「ホームページで何を達成したいか」を明確にすることです。目的が定まれば、必要な機能・適切な依頼先・妥当な予算が自然と見えてきます。
制作費は「コスト」ではなく「投資」です。制作後に集客や問い合わせにつながる設計がされているかどうかで、その投資のリターンは大きく変わります。



